最終更新日 2024年2月21日 by ガラスのハートを持つおっさん

破魔弓と言う言葉にはあまりなじみがないと言う人も少なくありません。
神社などで破魔矢を見かける事は多いもので、これは一年間の無病息災を願うものとお参りし入手する人も多いのですが、実際にはこれがどのような由来によるものかと言う事はあまり意識しない人も多いものです。

破魔弓の歴史

破魔弓は古くはこの破魔矢を射るための弓であり、魔除けを行うための神聖な儀式に利用されるものとなっていました。
その歴史は実は古来中国の時代にまで遡り、端午の節句にこれまで悪霊で様々な人々が悩まされていた時に、鐘馗と言う強い武将が現れ、その弓で悪霊を退治したと言う伝説から来ています。
ここから弓は非常に格式高いものとして日本に伝えられ、西暦670年頃には日本国内でもお正月に弓で的を射ることで悪霊を退治すると言う儀式が頻繁に行われるようになりました。

当時の悪霊は様々な天変地異をもたらし、また人々に病気の形で危害を与えるものと恐れられていました。
そのため日本国内でも様々な形でこの悪霊を退治する方法が行われていましたが、その中で中国から伝わる弓矢の風習は非常に効果的なものであると考えられており、日本国内でも様々な武将や豪族の下で頻繁に行われるようになっていたのです。
特に単に無病息災だけではなく、人々の生活の糧となる農作物の方策を願う儀式としても非常に重宝され、そのしきたりが長く引き継がれることになりました。

その後日本は事あるたびに様々な武将同士の争いが起こるようになり、その時に離れたところから相手を倒すことができる弓矢は重要な武器として用いられるようになりました。
また当時は現代のように明確な法律と言うものがなく、自分自身の様々な目的を妨害するものは全て悪霊と言う考え方を持っている面もあったため、弓矢を利用して相手を倒すことで自分自身の繁栄を願うと言う部分もあったと考えられています。
これは海外からより強力な武器である鉄砲が伝わるまで非常に効果的に利用できるものと考えられていたことから、その2つの意味を重ねあわせて非常に広く利用されるようになりました。

現在ではこのような相手を攻撃するための武器として利用される事はほとんどなくなり、そのしきたりだけが形を変えて日本に残ることになります。
その中で元来中国から伝わった鍾馗が現れた時期が端午の節句であったこと、またその勇猛果敢な振る舞いが男の子の成長に非常にふさわしいと考えられたことから、男の子の成長と無病息災を願う飾りに使用されるようになりました。

破魔弓の意味

破魔弓は神社などで配られている破魔矢と同じような意味がありますが、実際に矢は的に当たって初めてその効果を発揮するものであり、これを持っている事はその効果を得たものをお守りにすると言う意味合いが込められています。
そのため特に家内安全を願うものとされている風潮がありますが、破魔弓は矢を射る弓の部分と矢が組み合わされたものであることから、様々な災いをなす悪霊やその他の邪気を積極的に追い払うためのものであると考えられているものです。
これを家の中におくことで家におそいかかる様々な悪霊や邪気を追い払い、家の中の無病息災を守ると言う意味で語られることが多くなりました。

同時に男の子が誕生したときに破魔弓を初正月に飾ると言う腐臭は、もともとそのしきたりが武家屋敷から始まったものであることが大きく影響をしています。
日本社会では古来男子は家を守る重要な存在であり、その男子が健康であることが家を守るために必要不可欠であったことから、徐々に男の子の誕生を祝い、さらに無病息災を祈念するものと変化していきました。
現代では男の子が生まれたときにそのお祝いに贈ることも多く、美しい成長のお守りと考えられている面が少なくありません。

まとめ

破魔弓は元来このように男の子が誕生した初正月に飾り、正月が終わると片付けるものと言うイメージがありましたが、近年では非常に美しいものが数多く出回っており、インテリアとしても最適なことから1年中飾っていると言うことも少なくありません。
これは決して悪いことではなく、本来は家の中の安全を守ると言う意味が込められていたことや、男の子の健やかな成長を願う意味も込められていることから、非常に縁起の良いものとなっています。
常に飾っておくことで様々な家の中に起こる邪気を払うことができ、またその美しい見栄えで家族の心を和ませてくれるという効果もあります。
人の心が苛立つ事は様々な邪気を招く原因にもなるため、常に穏やかな心でいられる事は最も効果的な邪気払いになると言う考え方も成り立つのです。
そのため、様々な場面で利用することができるものとなっており、現代ではこのような目的のために美しい外観や化粧箱を持っているものも広く出回っているのが実態です。
非常に歴史が長く由緒正しいものでありながら、現代の生活でも効果的に利用できる飾りとして広く用いられています。